化学物質過敏症の人間が海外に行ってみた話③
目次
1 前書き
この記事は、化学物質過敏症の人間が海外に行ってみた話①②の続きになります。単体でも読めますが、よかったらぜひ①②も読んでみてください。
化学物質過敏症ってなに?と思われた方は、下のサイトをご覧ください。
化学物質過敏症支援センター
今回は、フィンランドに行って帰るまでに訪れた空港内部の話を書きました。海外旅行をする際に、少しでも参考になればと思います。
また、化学物質の感じ方や出る症状は人によって異なるため、海外へ行かれる際には自分の体調との兼ね合いや、主治医と相談した上で十分準備を整えて渡航してください。
2 空港によって雰囲気と匂いは全然違う
当たり前のことだ、と思われる方も多いと思いますが、本当に海外の空港は場所によって全く雰囲気も匂いも異なります。それに加え化学物質過敏症であることもあり、空港によって感じ方もかなり違いました。今回、韓国の仁川空港、オランダのアムステルダム・スキポール空港、パリのシャルルドゴール空港、フィンランドのヘルシンキ・ヴァンター空港を訪れたので、そのときに感じたことを書いてみようと思います。
(1) 仁川空港
着いた瞬間広さに驚きました。人は多いのに、空間が広々としているため全く気になりませんでした。第一ターミナルと第二ターミナルがあり、バス又は電車で移動しなければなりません。何かわからないことがあれば空港の職員さんに英語で聞くと優しく教えてくれます。職員さんは空港内を歩いていたり、サービスカウンターに座っていたりします。中には日本語を話せるスタッフもいて、皆さんとても親切です。iPhoneを失くした時も、とても親身になって協力してくれました。(無くして6日後に戻ってきましたが、その時は一緒に喜んでくれました。)
とても広々としているためか、何かの匂いが充満するといったことはありませんでした。人とすれ違う際に、嗅いだことのない不思議な匂いがすることはありましたが、特に症状が出ることもなく、とても楽です。バスの中などで目の前に香水をつけた人がいると、ちょっとしんどいかなというくらいです。柔軟剤の匂いもほとんどせず、しても日本のように症状が出るということは無いため、初めは不思議でしたが、ホテルに入り熱湯使用可の洗濯機を発見して腑に落ちました。日本でも普及してほしいです。
ただし、空港内のドラッグストアなどの化粧品売り場は、場所によっては苦手な人がいるかもしれないので気を付けてください。
また、清掃したばかりの手洗いは塩素など洗剤の匂いがきついことがあるため、清掃の人がトイレの前にいるときは避けたほうが無難です。
また、空港のターミナル移動の際、道路でバスを待つことがあると思いますが、その時は排気ガスがかなりきます。肺に疾患等がある方や、化学物質過敏症の方は念のため活性炭マスクをつけておいたほうがいいかもしれません。韓国の人は、ほとんどが白いマスクではなく黒いおしゃれなマスクをつけています。コンビニなどで買えるので、つけてみるのもいいと思います。(かなり顔にフィットして快適でした。)
こういうやつです。なお、これは活性炭入りなのでさらに楽に移動できると思います。(現地のものは入っていませんでした。)喫煙場所は同じく空港を出てターミナル移動をする道路のわきにあります。一応仕切りはありますが、天井がないので風向きによってはかなり漏れてきます。受動喫煙症の方は特に気を付けてください。空港内で(飲食店等を含めて)煙草の煙を吸うといったことは無かったので、その点についてはとても安心です。
(2) アムステルダム・スキポール空港
乗り継ぎがとてもしやすいことで有名な空港です。道もわかりやすいうえに案内板を持ったスタッフさんもおり、たった2時間の乗り継ぎでしたがスピード感のある移動ができたと思います。
このときはiPhoneを失くしたことに気付いたこともあり、落とし物連絡所を探すなど、個人的にとても大変だったので正直あまり覚えていません。あまり覚えていないということは、逆に言えばとても楽な環境だったのだなと、振り返ってみると感じます。ちなみにずっとマスクなしで過ごしました。有名な香水メーカーなど、ブランドが並んでいる場所は少し苦しかった気がします。
失くしたIPhoneを探すために訪れたLOST&FOUNDの職員さんはユーモアたっぷりに優しく対応してくれたので、気が気ではない状況でも少し安心しました。ただサービスカウンターや案内所の場所はわかりにくいので、念のため調べておくことをお勧めします。
はてなマークを発見し、案内所だと思いついたら、なんと電子掲示板だったということがありました。また、電子パネルで職員さんと会話できる場所もあったのですが、なぜか音声が繋がらず、お互いに苦笑いして分かれることになりました。実際には上のほうに案内板がぶら下がっているため、それに従っていけばたどり着けます。
(3) シャルルドゴール空港
唯一苦手と感じた空港です。フィンエアーから降りて、空港内に入った途端、香水の香りを強く感じました。空港内部は広いものの、かなり人が多くしっかり前を見て歩かないとぶつかってしまいそうになります。(実際にぶつかりました…。)おしゃれな人もたくさん歩いており、さすがパリだと思うのと同時に、多くの人が香水を身にまとっているため、化学物質過敏症の私にとっては少し辛い場所でした。
空港はかなり広く、ターミナルもいくつかに分かれていて、バスで移動します。空港内部の構造もよくわからず、職員さんに聞きたくとも場所がいまいち分かりませんでした。もっと調べておけばよかった…!店員さんもみんな忙しそうで、結局迷っていたところを通りすがりの職員さんに助けてもらい、何とかゲートにたどり着きました。みんなフランス語で話しかけてくるので、初めは戸惑いましたが、こちらが英語で返すと英語を返してくれました。
(4) ヘルシンキ・ヴァンター空港
今のところ、気持ちよく深呼吸できる空港ランキング第1位です。空港内はそこまで人でにぎわっておらず、困っていたら職員さんや他の人が話しかけて助けてくれるので精神的にもとても楽です。(フィンランドのヘルシンキ全体に言えることです。)グルテンフリーのパンも気軽に頼めるので、小麦で体調を崩す私にとっては天国のような場所でした。
飛行機の中も無臭で最高なのですが、空港内も負けず劣らず無臭です。ただ、他の空港と同じようにチェックインした後のお土産物売り場では、やはり香水のブランドが多く若干甘い匂いがします。しかし湿度と気温が低いためか、そこまで気になりませんでした。
注意が必要なのは、空港から出てすぐの場所に喫煙用の灰皿が置いてあり、かなりの確率で煙草の煙と遭遇することが多いことです。目の前のバス停も煙草を吸っている人がたくさんいました。そこで煙草の煙を浴びてしまうと、後々ホテルの部屋に入ったとき苦しい思いをするので(①でも書きましたが、ヘルシンキのホテルは窓が開けられません。)、受動喫煙症や化学物質過敏症の方は気を付けてください。
軽症の方であれば、顔を隠さずにマスクすることができるWoody knowsの鼻に入れる活性炭マスクがおすすめです。
その理由は顔を隠すと口元が隠れ、言いたいことが伝わりにくくなること、また、顔を出していたほうが周りの人が助けてくれる確率がかなり高くなることに気付いたからです。
ヘルシンキでは周りをきょろきょろしているとほぼ確実に誰かが声をかけて助けてくれます。感動して泣きそうになりました。無人レジでシステムがわからず一人困っていた時も通る人みんなが声をかけてくれるので、スムーズ、ではないですがなんとかなりました。
しかしマスクしていた時は、誰も声をかけてくれませんでした…。
コミュニケーションの面からもデメリットになります。フィンランドの人も私も、英語ネイティブではないのでお互い相手の口元を見て話すことになります。マスクをしていたら声がくぐもるだけでなく、口元が見えないためただでさえ難しいコミュニケーションがさらにハードになります。
なお、サイズはS、M、L、形は丸形と細長とがありますが、日本人であれば丸形がほとんどの人にフィットすると思います。また、サイズについては不安な人は全てのサイズが入ったパックがあるため、それを買うのが安心です。(私もそうしました。ちなみにSでも意外と大きいです。)
はじめは周りに活性炭の粉がついているため、必ず拭ってから使ってください。私は初め使ったとき活性炭の粉を吸い込んでしまい、くしゃみの嵐でした。
行った際、買っていけばよかったと激しく後悔したので帰ってから買いましたが、歯医者に行くときに特に重宝しています。
もし、化学物質過敏症で初めて海外に行ってみたいけどどこに行こうか迷うという方、特に資金に余裕がある方は春や夏にフィンランドに行くことをお勧めします。湿度が低く化学物質が揮発しにくいこと、街の近くにも自然がたくさんあり気持ちよく過ごせること、困っていたら周りの人が声をかけてくれること、(物価が高いことを除けば)本当に最高の国だと思います。
また、韓国も柔軟剤臭は少なく、日本語を話してくれるスタッフや店員さんも多いのでとても気が楽に過ごせます。
私自身、カナダにホームステイして以来久しぶりの海外でしたが、選んだ国が韓国とフィンランドで良かったと思いました。
次回は、韓国とヘルシンキのホテルについて書こうと思います。
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